贈与する持分の計算方法

不動産を贈与する場合、贈与する割合が不動産の所有権全部である場合は、「持分」という計算はありませんが、贈与する割合が、所有権全部ではなく、所有権の一部の場合は、「持分〇分の〇」というように「持分」を決める必要があります。

贈与する不動産の価格の基準(どの価格を基準とすればよいのか。)

不動産を贈与する場合、暦年贈与夫婦間贈与(配偶者間贈与)相続時精算課税制度の贈与において、贈与する「不動産の価格」を計算する必要があります。

なぜなら、それぞれの贈与の場合、非課税枠(基礎控除額や特別控除額)の範囲内であれば、贈与税がかからないことから、贈与税がかからない非課税枠の範囲内の贈与価格がいくらになるのかを計算する必要があるからです。
これは、贈与税の非課税枠 (基礎控除額や特別控除額) を利用するにしても、不動産の価格がいくらなのかがわからなければ、不動産の価格を記入することができず、非課税枠 (基礎控除額や特別控除額) を超えるかどうかもわからないからです。

また、非課税枠(基礎控除額や特別控除額)を超えて贈与する場合、贈与税がいくらになるのかも計算する必要があるからです。
贈与税の申告をする必要がある場合、贈与税の申告書には、贈与した不動産の価格を記入する必要があります。

そこで、この「不動産の価格」とは、
土地については税務署の路線価建物については固定資産税の評価価格です。

税務署の私道の課税価格について
公道から公道に通じている私道(登記上の公衆用道路)が、固定資産税の評価価格として非課税(0円)の場合、贈与税の課税価格は、0円で計算します。
行き止まりの私道は、路線価の0・3を乗じて計算します。(東京国税局に確認しました。)

路線価は、その土地に面した路線(道路)の1平方メートル当たりの価格が、国税庁の路線価図に記載されています。
この1平方メートル当たりの価格(路線価)に土地の面積を乗じて計算します。
細かい計算方法については、税理士や税務署にお尋ねください。
厳密には、土地の形状や高低差により土地の価格が変わります。
路線価については国税庁の路線価でご確認ください。

建物の場合、贈与する価格は、固定資産税の評価価格で計算します。この評価価格は、市区町村役場(都税事務所)の固定資産税課証明係で取得することができます。
また、固定資産税納税通知書の2ページ目以降の「課税明細書」に「評価価格・価格・価額」と記載されている価格です。

贈与する不動産の持分の計算方法

土地は路線価で、建物は固定資産税の評価価格で計算した結果、非課税枠(基礎控除額や特別控除額) で贈与する場合、贈与する価格が不動産全体の所有権に及ばないことがあります。

暦年贈与の場合

例えば、土地は路線価で、建物は固定資産税の評価価格で計算した不動産所有権全体の価格が1,100万円、暦年贈与の贈与税の非課税枠は、110万円て計算してみます。

この場合、贈与する不動産の価格(贈与税の非課税枠)110万円は、不動産の所有権全体の価格1,100万円の10分の1に相当しますので、名義変更登記をする場合には、移転する持分を10分の1として登記します。

すなわち、この場合、不動産の所有権全体の10分の1を暦年贈与の贈与税の非課税枠を使って、贈与できることになります。

夫婦間贈与(配偶者間贈与)の場合

例えば、土地は路線価で、建物は固定資産税の評価価格で計算した不動産所有権全体の価格が4,000万円、夫婦間贈与(配偶者間贈与)の贈与税の非課税枠は、2,000万円(計算上110万円の非課税枠を除外)として計算してみます。

この場合、贈与する不動産の価格(贈与税の非課税枠)2,000万円は、不動産の所有権全体の価格4,000万円の2分の1に相当しますので、名義変更登記をする場合には、移転する持分を2分の1として登記します。

すなわち、この場合、不動産の所有権全体の2分の1を夫婦間贈与(配偶者間贈与)の贈与税の非課税枠を使って、贈与できることになります。

相続時精算課税制度の贈与の場合

相続時精算課税制度を利用して贈与する場合の特別控除額は、2,500万円です。

例えば、土地は路線価で、建物は固定資産税の評価価格で計算した不動産の所有権全体の価格が5,000万円、相続時精算課税制度の贈与の控除額は、2,500万円として計算してみます。

この場合、贈与する不動産の価格(相続時精算課税制度の贈与の控除額)2,500万円は、不動産の所有権全体の価格5,000万円の2分の1に相当しますので、名義変更登記をする場合には、移転する持分を2分の1として登記します。

すなわち、この場合、不動産の所有権全体の2分の1の特別控除枠を使って、贈与できることになります。

不動産取得税の軽減措置を受けるためには

暦年贈与、夫婦間贈与(配偶者間贈与)、相続時精算課税制度の贈与ともに、不動産取得税(都道府県税)の対象となります。減税適用がある場合、不動産取得税が軽減されます。

居住用不動産の贈与による取得の場合、不動産取得税が軽減される条件は次のとおりです。
暦年贈与、夫婦間贈与(配偶者間贈与)、相続時精算課税制度の贈与 に共通しています。

  1. 贈与を受ける人(受贈者)自らが、居住すること
  2. 建物の床面積が、登記上50㎡以上240㎡以下であること
  3. 建物の建築年が、昭和57年1月1日以後であること
    以上の条件であれば、不動産取得税が軽減されます。

ただし、この不動産取得税の軽減を受けるためには、土地のみの贈与ではなく、建物についても贈与を受ける必要があります。

贈与によって取得する不動産の価格の計算をする場合に、建物は築年数を経過すれば、その評価価格が減額されますので、できるだけ土地の持分を多くしたいところです。

このような考え方で、建物の贈与を受けずに、土地のみ贈与を受けると、不動産取得税が3%(居住用)かかります。
贈与の土地の評価価格が1,000万円であれば、その2分の1が課税価格となり、15万円かかります。

したがいまして、建物についても、例えば、100分の1でも贈与を受け、不動産取得税の軽減措置を受けるのがよいでしょう。
この軽減措置(居住用)を受ける場合に、通常の土地の面積(約150㎡)の場合には、計算上、不動産取得税がかからず、建物のみの課税となり、約3万円から0円で済みます。

不動産取得税がかかるかどうかは、次のサイトでご確認ください。
各都道府県の不動産取得税の計算方法は、基本的に同じです。東京都が一番分かりやすので参考にしてください。
東京都主税局・不動産取得税
不動産取得税計算ツール(簡単計算)

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