相続時精算課税制度の贈与(相談)

相続時精算課税制度の贈与(相談)

【相続時精算課税制度の贈与の相談事例】

  • 親(60歳以上)から子(20歳以上)への贈与
  • 子が親所有のマンションに居住している。
  • マンションは、昭和53年建築
  • マンションは、敷地権付きではない。

税金の計算

以下の計算は、令和3年度価格で計算します。
登記には、令和4年度の「固定資産税納税通知書・課税明細書」が必要です。
登記の内容:相続時精算課税制度を利用した贈与

贈与税の計算

相続時精算課税制度を利用した贈与の価格は、
まず、土地につきましては、国税庁の路線価を基に計算します。
路線価図を添付します。前面:35万円/㎡、後面:34万円/㎡
建物は、固定資産税の評価価格:4,563,777円で計算します。

贈与する土地持分・建物の合計価格<2,500万円
で、通常、贈与登記します。
2,500万円を超えますと、一律20%の贈与税がかかります。

税務署への申告は、贈与した翌年の2月1日から3月15日までに行います。
贈与税の納税が免除される場合であっても、贈与税(相続時精算課税制度の届出)の申告が必要です。

贈与税計算(相続時精算課税制度利用)
建物(評価価格):4,563,777円(令和3年度価格)①
土地持分(路線価):21,128,940円(令和4年度路線価格)
 土地路線価格計算
 35万円/㎡×1636㎡=572,600,000円
 572,600,000円×369/1万=21,128,940円 ②
 土地路線価格の計算は、厳密には、土地の形状・道路2面の路線価で計算します。
 ここでは、最大路線価:35万円で計算します。
 実際には、21,128,940円より多少減額となります。

①+②=25,692,717円>2500万円
相続時精算課税制度の非課税:2,500万円を超えますので、超えた価格:692,717円に対して税率20%、贈与税がかかります。

692,000円×20%=138,400円(贈与税)
所有権全部の贈与を受けますと、贈与税:138,400円かかりますので、これを2,500万円の非課税枠の範囲内での贈与であれば、贈与税がかからないことになります。ただし、申告は必要です。
例えば、贈与の割合を100分の95とした場合
25,692,717円×95/100=24,408,081円<2,500万円
となりますので、贈与税がかからないことになります。

土地の路線価計算は、実際には、土地の形状、路線2面の価格など細かい計算方法となります。
正確に計算するには、税理士に依頼することになりますが、申告の税理士報酬は、10万円から15万円ほどだと思われます。
ご自分で計算して(もっとも当職も計算します。)申告される場合、申告前に税務署で税額を確認してもらえば問題ないかと思います。

以上の点を踏まえて、所有権全部の贈与にされるのか、持分の贈与にされるのかをご検討ください。

次の登録免許税(と不動産取得税)の計算では、所有権全部の贈与として計算します。
なお、贈与を受ける子には、神奈川県税事務署の不動産取得税がかかります。
これは、登記後、約3か月後に県税事務所から納税通知書が郵送されます。

不動産取得税の計算

不動産取得税の計算は、次のとおりです。
昭和53年建築のため、減税適用がありません。
建物:4,563,000円
 4,563,000円×3%=136,890円 ①
土地持分:16,492,646×1/2=8,246,323円
 8,246,000円×3%=247,380円 ②
①+②=384,200円(不動産取得税)

贈与による登記費用の合計(以下で計算方法をご説明します。)
473,544円

相続時精算課税制度の贈与でかかる費用

以上のことから、相続時精算課税制度の贈与(所有権全部)では、次の費用がかかることになります。
登記費用:473,544円
不動産取得税:384,200円
贈与税:138,400円
合計:996,144円

登記費用:登録免許税・証明書代、司法書士報酬

登録免許税の計算は、評価価格で計算します。

登記費用
御見積書と登録免許税計算(課税明細書)を添付します。
実費:422,744円+200円(収入印紙代)
報酬:46,000円+4,600円(消費税)
合計:473,544円

実費
○ 登録免許税(贈与)

登録免許税計算(贈与):所有権全部の贈与の場合

建物評価価格(令和3年度価格):4,563,777円
 4,563,000円×2%=91,200円(建物・登録免許税)
土地評価価格(令和3年度価格):446,955,200円
 446,955,200円×369/1万=16,492,646円
 16,492,000円×2%=329,800円(土地持分・登録免許税)

○ その他
 登記事項事前確認:1物件につき332円。建物・土地2通で664円。
 登記事項証明書/完了:2通で480円(建物)+600円(土地)、計1,080円。
 贈与契約書に貼付する収入印紙代:200円。

〇 司法書士報酬は、
 所有権移転:46,000円(税抜)です。

登記に必要な書類

贈与者(親)
① 登記識別情報通知(権利証)(原本)
② 印鑑証明書 1通
③ 令和4年度の固定資産税納税通知書(課税明細書を含む全ページ)
④ 身分証明書(運転免許証か健康保険証など)の写し
 (実印→贈与契約書・委任状を作成後、押印いただきます。)

受贈者(子)
⑤ 住民票   1通
⑥ 身分証明書(運転免許証か健康保険証など)の写し
 (認印→贈与契約書・委任状を作成後、押印いただきます。)

手順(スケジュール)

(当事務所)
上記①から⑥の書類を郵送していただくための「封筒(レターパック)」を郵送いたします。
これらの書類を、親と子、別々に郵送をご希望の場合、お知らせください。
①から⑥の書類は、贈与契約書・委任状などの書類を作成するために郵送していただきます。

(○○様)
上記①から⑥の書類をご郵送いただきます。

(当事務所)
贈与契約書、登記原因証明情報、委任状を作成後、郵送いたします。
これらの書類を、親と子、別々に郵送をご希望の場合、お知らせください。
登記費用の請求書(実費)郵送いたします。

(○○様) 
贈与契約書、登記原因証明情報、委任状に署名、押印のうえ返送していただきます。
登記費用のうち実費をお振込みいただきます。

(当事務所)
親にお電話で確認させていただきます。
登記申請いたします。
登記の完了まで約2週間かかります。

(当事務所)
登記申請しましたら、次の書類をメールいたします。
①登記の受付のお知らせ

(当事務所)
登記が完了しましたら、ご連絡いたします。
登記完了書類を郵送いたします。
相続時精算課税贈与の申告方法をお知らせいたします。

(○○様)
司法書士報酬をお振込みいただきます。

相続時精算課税制度の贈与と税金、贈与税、不動産取得税を参考にしてください。

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